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2006年7月26日 (水)

週刊ポストはただのプロパガンダ雑誌~2006/8/4号で見るその煽り度

「ゼロ金利解除を逆手に取って儲ける」という週刊ポストの記事には笑えた。
銀行がマンションの登記簿謄本を勝手に利用して営業しており、住宅ローンの借り換えを勧めているだって。
しかも、預金者の情報を銀行が勝手に利用しているだって。

それで?
マンションの登記簿謄本って、土地と建物の登記簿謄本のことだろ?
こんなもの法務局に行けば、誰でも閲覧可能じゃん。
その上、手数料を払えば誰でも謄本もらえるじゃねえか。
勝手に利用して営業だの何だのっておかしいんじゃないの?

謄本を閲覧して取引に利用するなんて、ごく普通の取引プロセスだよ。
こんなこと銀行だけじゃない。

例えば、上場している大手スーパーや大手ホームセンターだって、以下のようなことは行っている。

商圏を調査して、ここに新しい店舗を建てたいと思う。
そうすると地図と登記簿謄本で、この土地の権利者は誰で、賃借権や永小作権なんかの他の権利がついていないかを調べて、交渉の相手を定める。
法人が土地を保有していたら、併せて法人の商業登記簿謄本も調べて、その連絡先を洗い出す。

ごくごく普通のプロセスだと思うが、何か?

この記事を書いた記者は営業プロセスの常識を知らないだろうか。
大体、住宅ローンを勧める段階で、預金者の登記簿謄本をいちいち見るわけないだろう。
銀行の窓口でのセールス例を以下に示す。

「(略)お客さまは、○○マンションにお住まいなんですね。いつごろからお住まいなんですか。ああ、そうですか。では、結構金利の高い時期にローンを組まれたのではないですか。今でしたら、金利は結構下がっていますよ。ただ、今後高くなる可能性があるので、うちの長期固定金利の借り換えローンを検討してはいかがでしょうか。(略)」

ほらな。別にさあ、勧誘するだけならわざわざ預金者の情報から登記簿謄本を見る必要はないっつーの。
実際に登記簿謄本を見るのは、借り換えにせよ何にせよ、担保として取るに適当かどうか確認するためであって、セールスの段階ではわざわざ見ないんだよ。
担保として適当かどうか見る段階では、預金者の情報を勝手に見るどころか、ローンを利用したいという意向が十分固まっているんだよ。

だから、預金者の情報を勝手に利用してマンションの登記簿謄本を見て云々というのは、見当違い。

確かに、場合によっては、土地や建物の謄本を取って、そこで所有者を割り出して、不動産有効活用絡めた融資の提案や借り換えの提案を行うこともあるだろう。
しかし、これとて、預金者の情報を「勝手に」使ってということではなく、初めに法務局の謄本ありきである。
謄本から所有者を割り出して、その人が預金者であることを調べるかもしれないが、同じことである。
順番が逆なのだ。

もちろん、登記簿謄本は個人情報に該当するため、取得した場合は個人情報保護法にしたがって管理しなくてはならない(公知の情報であり、何で管理が必要なのかさっぱり不明だが、法令上はそうなっている。本当にクソ法だ)。

しかし、不動産登記法に定めているとおり、何人も手数料を払えば登記簿謄本など取得可能だ。
そもそも、この法律の第1条にもあるとおり、不動産登記は不動産に関する権利を公示する制度であり、この制度によって、国民の権利の保全や円滑な取引の推進を図っているわけだ。

取引をする以上、登記された内容を知らなきゃできないし、そこんところを法制度が保護しているわけだ。
それに従って、謄本を閲覧したり手に入れたりする限り、何ら問題はない。
それを、あたかもとんでもないことが行われているように報道するというのは、プロパガンダ以外の何物でもない。
そんなことに熱中する暇があったら、もっと全うな記事を書けよな。
同じ号の別の記事に、別の雑誌が村上ファンドへの出資者リストを手に入れたと書いてあったが、それぐらいのことをしてみろよ。

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