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2006年10月15日 (日)

「美しい国」という薄気味悪さ

安倍政権が掲げるスローガンは「美しい国創り内閣」だそうだ。
これほど薄気味悪いスローガンも珍しい。
安倍政権がこのスローガンを掲げたため、マスコミがこぞって「美しい国」と言いはじめた。
しかし、「美しい」というのは個人的な主観によるところが大きく、しゃべっている人間の使い方も異なるようだ。

さて、この「美しい国」なるものはこんなものだそうだ。

 まず、美しい国について申し上げますと、これは立候補したときの記者会見でも申し上げたことでありますが、まず、その姿の一つは、美しい自然や日本の文化や歴史や、そして伝統を大切にする国であると思います。しっかりと環境を守っていく。そして、またそうした要素の中から培われた家族の価値観というものを再認識していく必要があると思います。
 また、自由な社会を基盤として、しっかりと自立した、凛とした国を目指していかなければならないと考えています。そのためにも教育の改革が必要でしょう。そして規範を守る経済でなければならないと思います。
 そして、今後力強く成長していく、エネルギーを持ち続ける国でなければならないと思います。冒頭申し上げましたように、今日よりも明日がよくなっていく。みんなが未来に希望を持てる国にしていきたい。しっかりと成長していく経済、強い経済をつくってまいりたい。そのために、イノベーション、オープン、人材の育成が大切であると思います。そして、世界の国々から尊敬され、愛される、リーダーシップを持つ国でなければならないと思います。世界に対して日本の、言わば国柄、カントリー・アイデンティティーをしっかりと発信をしていく国を目指していきたい。そして、多く国々が、また多くの人たちが日本を目指す。そういう方々に日本に来ていただける環境をつくっていくことも重視をしていきたいと思います。

このような内容をまとめて「美しい国」と言っているようだ。
こんなに長い主張で、しかも最初の一文のごく一部しか「美しい」としか出てこない。
なぜ「美しい」という表現にこだわったのかよくわからないというのが、正直な感想だ。

「美しい」という個人の主観的な表現を、国家のスローガンに掲げるとろくなことはない。
かつて「美しさ」を極度に押し出した政治があった。

それはヒトラーの政治だった。
今は絶版となったようだが、多木浩二氏の「ヌード写真」という面白い本には、ヒトラーのドイツが国家として美的観念を強制した様子が書かれていた。

ヒトラーが統治するドイツでは、男性美・女性美を強調したヌード写真が撮影された。
国家として、男は男らしく女は女らしくといった美意識を強制していたのである。
そういえば、ベルリンオリンピックの映画(レニ=リーフェンシュタールだっけ)も、美しく撮影するよう指示したようだ。

そのヒトラーの統治下のドイツが何を行ったかは、皆さんもよくご存知だろう。
ドイツ人含むアーリア人は、優秀で肉体的にも美しい民族であり、それ以外の民族・人種(ユダヤ人や黒人)などは劣等民族・人種なのだと主張した。
そして、劣等民族・人種に対し、強制収容所の虐殺などの蛮行に及んだわけだ。

「美しい」という観念を極度に打ち出した国家にろくなものはない。
安倍政権下の日本でも、虐殺などのような事態はなくても、異質な存在への迫害が十分起こりうると筆者は考えている。

安倍政権下での教育により、日本の混血児への差別が発生するだろう。
日本的なものが「美しい」とすれば、そのような考え方からは、混血児は「不純物」とされかねないからだ。
他にも、アイヌ民族や在日韓国人・朝鮮人への差別が増大するだろう。

それから、明治以降に人工的に定まった標準語が「美しい」日本語であり、本来の日本の言葉である方言を使う人間は「劣等」人間としてさげすまれるだろう。

「美しい国」という薄気味悪いスローガンは、人間の尊厳という観点からも消えてほしいものだ。

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