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2006年10月21日 (土)

日本に核武装は必要なのだろうか?

最近国際政治の話題といえば、北朝鮮の核実験ばかりである。
それは無理からぬことである。
平和を願う一国民としては、早くこの問題が収束することを祈るばかりである。

ところで、以前もこのブログで書いたが、このどさくさに紛れて、日本も核武装すべきと主張する人間がいる。
しかも政治家の中にだ。
その論理が北朝鮮の核実験の根拠と同じなので、笑わせてくれる。
ひょっとしたら金正日の回し者だったりして。

そもそも現代において核武装が必要なのだろうか。
日本の近隣国である中国も核を保有しているが、北朝鮮の核実験については、北朝鮮の暴走を抑えるために他の国々と連携している。
同じ共産主義国であり、朝鮮戦争で支援した北朝鮮の行動を中国も抑えようとしているのだ。

これは冷戦時代にソ連とともに共産主義の道を進みながらも、ソ連の影響力を抑えようとして核の保有に乗り出したころの中国と異なると考えるのは早計だろうか。
このころは中国は自らの路線を強烈に主張し、他の国々との軋轢も辞さなかったように思える。
しかし、現在中国は核実験を凍結しており、北朝鮮の核実験も封じ込める側に立っている。
もちろん、中国が人道的な見地から北朝鮮の核実験に反対しているのではなかろう。
同国とは陸続きで、金正日体制が崩壊したら、難民流入などの問題が発生するといった現実的な問題もあろう。
だが、中国が以前に比べると国際協調路線を採るようになってきたのも、また事実といえる。

筆者はここに国際政治の流れが変わりつつあることを感じる。

翻って日本の政治はどうか。
国際協調路線と称して、アメリカの起こしたイラク戦争に自衛隊を派遣したかと思えば、今度は核武装ときた。
確かに核不拡散条約には、核を持つ国と持たざる国を固定化して不平等だという意見もある。
しかし、それ以前に日本の外交的なスタンスがどうなっているのかという問題があるのではないか。

国際協調路線としてイラク戦争に自衛隊を派遣したと思えば(というか対米協調、いや従米か)、靖国問題でアジアの近隣諸国と軋轢を起こし、そして今度は核武装を論じるという外交スタンスは、果たして国際社会で受け入れられるのだろうか。

日本と北朝鮮の間には、拉致問題など解決すべき課題がある。
他国からも協力を得なければならないこの問題を解決するためにも、今一度日本の外交スタンスを検討する必要があるのではなかろうか。

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2006年10月15日 (日)

怪しい金融商品「MRIシリーズセレクトA」

「MRIシリーズセレクトA」という怪しい金融商品の宣伝が出回っているようだ。
何でも、米国の診療報酬請求権を医療機関から買取り、医療機関に代わって保険会社に対して代金を請求して、その差額を収益とするそうだ。
ホームページを見るともっともらしいことを書いているが、非常にうさんくさい。

「自ら請求申請を行なっても保険会社に受理されず、診療報酬を回収できない確率の方が高いため」、医療機関は診療報酬請求権を売りたがると説明する一方で、「最も安定した将来性の高い債権の1つとして位置付けられている」と説明しており、相当矛盾している。

その上、商品の利率は固定であり、「高利回り」と謳っているから、販売方法としても問題ありだろう。
出資法に抵触している可能性もある。

しかも円建で2年で6.0%だそうだ。
それなら、金融機関から直接借りた方が低利での調達が可能だ。
なにもこんなに高い金利を払って、個人投資家から調達する必要などない。

てなわけで、みなさん決してだまされないように。

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「美しい国」という薄気味悪さ

安倍政権が掲げるスローガンは「美しい国創り内閣」だそうだ。
これほど薄気味悪いスローガンも珍しい。
安倍政権がこのスローガンを掲げたため、マスコミがこぞって「美しい国」と言いはじめた。
しかし、「美しい」というのは個人的な主観によるところが大きく、しゃべっている人間の使い方も異なるようだ。

さて、この「美しい国」なるものはこんなものだそうだ。

 まず、美しい国について申し上げますと、これは立候補したときの記者会見でも申し上げたことでありますが、まず、その姿の一つは、美しい自然や日本の文化や歴史や、そして伝統を大切にする国であると思います。しっかりと環境を守っていく。そして、またそうした要素の中から培われた家族の価値観というものを再認識していく必要があると思います。
 また、自由な社会を基盤として、しっかりと自立した、凛とした国を目指していかなければならないと考えています。そのためにも教育の改革が必要でしょう。そして規範を守る経済でなければならないと思います。
 そして、今後力強く成長していく、エネルギーを持ち続ける国でなければならないと思います。冒頭申し上げましたように、今日よりも明日がよくなっていく。みんなが未来に希望を持てる国にしていきたい。しっかりと成長していく経済、強い経済をつくってまいりたい。そのために、イノベーション、オープン、人材の育成が大切であると思います。そして、世界の国々から尊敬され、愛される、リーダーシップを持つ国でなければならないと思います。世界に対して日本の、言わば国柄、カントリー・アイデンティティーをしっかりと発信をしていく国を目指していきたい。そして、多く国々が、また多くの人たちが日本を目指す。そういう方々に日本に来ていただける環境をつくっていくことも重視をしていきたいと思います。

このような内容をまとめて「美しい国」と言っているようだ。
こんなに長い主張で、しかも最初の一文のごく一部しか「美しい」としか出てこない。
なぜ「美しい」という表現にこだわったのかよくわからないというのが、正直な感想だ。

「美しい」という個人の主観的な表現を、国家のスローガンに掲げるとろくなことはない。
かつて「美しさ」を極度に押し出した政治があった。

それはヒトラーの政治だった。
今は絶版となったようだが、多木浩二氏の「ヌード写真」という面白い本には、ヒトラーのドイツが国家として美的観念を強制した様子が書かれていた。

ヒトラーが統治するドイツでは、男性美・女性美を強調したヌード写真が撮影された。
国家として、男は男らしく女は女らしくといった美意識を強制していたのである。
そういえば、ベルリンオリンピックの映画(レニ=リーフェンシュタールだっけ)も、美しく撮影するよう指示したようだ。

そのヒトラーの統治下のドイツが何を行ったかは、皆さんもよくご存知だろう。
ドイツ人含むアーリア人は、優秀で肉体的にも美しい民族であり、それ以外の民族・人種(ユダヤ人や黒人)などは劣等民族・人種なのだと主張した。
そして、劣等民族・人種に対し、強制収容所の虐殺などの蛮行に及んだわけだ。

「美しい」という観念を極度に打ち出した国家にろくなものはない。
安倍政権下の日本でも、虐殺などのような事態はなくても、異質な存在への迫害が十分起こりうると筆者は考えている。

安倍政権下での教育により、日本の混血児への差別が発生するだろう。
日本的なものが「美しい」とすれば、そのような考え方からは、混血児は「不純物」とされかねないからだ。
他にも、アイヌ民族や在日韓国人・朝鮮人への差別が増大するだろう。

それから、明治以降に人工的に定まった標準語が「美しい」日本語であり、本来の日本の言葉である方言を使う人間は「劣等」人間としてさげすまれるだろう。

「美しい国」という薄気味悪いスローガンは、人間の尊厳という観点からも消えてほしいものだ。

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みのもんたが政治家になったら・・・

12日の駅売りの売店で、「みの 参院選」というようなタブロイドの見出しがあったような・・・。
もし、みのもんたが政治家になったら、ろくでもない社会が到来するだろう。

その理由はいくつかあるのだが、その1つが厳罰主義だろう。
この男の脳みそは、厳罰主義にすれば全てが円く解決するという発想で凝り固まっているようだ。

福岡の公務員の飲酒運転による自動車死亡事故を受けて、「これは殺人罪だ」と叫んでいた。
非常に痛ましい事故であり、加害者に同情の余地はないのだが、これを殺人罪と構成するにはどうか。

もし殺人罪として構成するなら、一定量以上のアルコールが呼気から検出されるような酩酊した状態で運転を行った段階で、実行の着手があったとなるんだろうな。
ということはだよ、飲酒運転したら殺人未遂が成立することになる。
そのくせ、飲酒運転した中村獅童にはめちゃくちゃ甘いな。
同業者に甘くて、そのくせ厳罰を科したがる。
結構もみ消しなんかやっちゃったりして。

大体、厳罰主義でできることには限界がある。

川口市の園児死傷事故も痛ましい事故だが、原因は運転手の脇見運転である。
カーステレオのカセットを入れなおしていたそうだ。
この事故を受けて、川口市は緊急アピールを行ったそうだ。

曰く、「川口で発生した事故は単なる事故ではなく、殺人行為であると痛感しました」「交通ルールを守り、運転マナー、モラルの向上に努めて、悲惨な事故を二度と起こさないよう切に訴えます」だそうだ。
殺人行為と訴えて、運転手の努力だけに頼るのはどうか。
人間は神様ではない。
どうしても注意力がそがれる場面もある。
だったら、それを踏まえて、道路整備を行うのも必要なのでは。

テレビでも放映されていたが、事件の現場は歩行者と車が分離されておらず、ガードレールもない場所だ。
だったら、歩車分離を行うとか、自動車を乗入禁止にするなどの対策を講じておくべきだったのではないか。
それこそ行政にしかできないことであり、行政の出番なのだが、安易にアピールで運転手のモラルに訴えるのはいかがなものか。

毎日新聞より

市は再発を防ぐため職員72人が市内全104保育園の園外保育441ルートの調査を始めた。歩車道分離や電柱、看板など障害物の有無、交通量など39項目をチェックしている。危険な道路は、「止まれ」「危険」などの標示やカーブミラーの設置などを施す。12月補正予算に経費を盛り込む。

にもかかわらず、何を今更ルートのチェックを行っているのか。
もっと早めに行い、何らかの対策を講じれば、あの事件は防げたのではないか。

個人のモラルに訴えたり厳罰主義に徹するだけでは達成できないことは多い。
そのようなこともわからず、厳罰で片付けて一件落着すればいいというみのもんたには、政治家になってほしくないものだ。
まあ、みのもんたのことだから、大声で騒ぎたて、庶民の見方ぶれば政治家になれると思っているのだろうが。

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地方は努力が足りないか?

筆者は日経新聞を購読しているが、この新聞の論調で気になるのは、「地方は財政面でもっと努力をすべきだ」ということだ。
地方交付税削減のあおりの中、別に努力していないわけではないのだろう。
筆者が問題にしているのは、地方交付税削減に対し地方に財政努力を求める一方で、国の直轄事業に対して、日経新聞は触れていないことだ。

国の直轄事業というのは、地域に密接な事業であっても、国として行うべき事業については、国が費用の多くを負担した上で、行っている事業のことである。
例としては、河川の治水事業が挙げられる。

以前このブログでも書いたが、東京は日本の首都であるため、本来東京都民のための事業であっても、日本の首都の事業として国の直轄事業に認定してもらい、国の財政から支出させやすい。
東京都は地方交付税を受け取っていないと言っているが、実はこのような直轄事業によって結構支出を浮かしている側面もあるのだ。

だから、地方の財政努力を評価するのであれば、この直轄事業による支出も含めなくてはならない。
日経新聞の視点にはそこが欠けているといえよう。

ところで、2016年のオリンピック候補地として日本からは東京から名乗り出ることとなった。
都知事石原はオリンピック招致のために担当大臣を設けるよう内閣に働きかけている。
オリンピックは国家的な事業だ、したがってそのためのインフラ作りは国の直轄事業であるべきだ、として国から財政支出をさせようとするだろう。
その結果、東京と地方の格差が開きかねない。
そのため、国の直轄事業も地方財政を論議する際にはきちんとチェックしなくてはならないのだ。

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外交下手の金正日、運の良い安倍シンゾー

北朝鮮が核実験を行ったため、各国が反発を強めている。
そして、程度の差はあれ、同国に対し制裁を加えることで各国は一致している。
金正日が何を考えて核実験を行ったのか。

アメリカと直接対話をしたいのか。
それとも、外交上核保有で優位に立てると考えているのか。

金正日ほど外交が下手な政治家も珍しい。
日本と中韓は外交上うまくいっていなかったが、この一件で対話の道が開かれてしまった。

金正日が行っているのは、あきらかに北朝鮮にとってマイナスでしかない。

一方、安倍シンゾーにとってみたら、これほどラッキーな事件はないだろう。
この事件のおかげで中韓と対話が行える上に、靖国問題など自分の主張と中韓が対立しそうな話題を棚上げにできるのだから。

この事件が長引けば長引くほど、安倍シンゾーは安泰だろう。

ところで、日本の核武装論者はどうするのだろうか。
安倍シンゾーのブレーンにも入っていただけでなく、安倍シンゾー自身もそのようなことを述べていたような気がするが。
ということは、安倍シンゾー政権は金正日と同レベルということか。

核武装論者の主張と、北朝鮮が核実験を行った主張(同国の国営放送で流れていたもの)は似通っている。
自国の自衛のために核兵器の保有は必要と主張する、その点においてである。

核兵器の力で外交を切り開こうとするのは、今の世界で通用しない戦略であると筆者は考える。
何も理想論で言っているのではない。
近隣諸国と無用な緊張を高め、外交を難しくするからであり、さらに国際的な連携による制裁が待ち受けるからである。

今や核保有が公然の秘密となったイスラエルは、それによって自国のプレゼンスが上がったか?
過去中東であれほど脅威を誇ったイスラエルが、今年のレバノン侵攻では短期間で停戦合意に追い込まれた。
ヒズボラが勝利を宣言するほど(アメリカのブッシュは勝利宣言を否定したけどね)であり、イスラエルにとっては屈辱の停戦だったのだ。

今の世界で核兵器で自国のプレゼンスを上げられるとは、日本の指導者もゆめゆめ思わない方がよい。

北朝鮮人民軍・生き地獄の兵営 Book 北朝鮮人民軍・生き地獄の兵営

著者:チュ ソンイル
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