
自分は愛知県名古屋市出身で名古屋が大好き。
で、家田荘子さんはノンフィクションを中心に活躍する作家だが、彼女も愛知県出身。
そんな彼女が原作を手がけた漫画が「AB・フリャー」。
これは今読んでも非常に面白い漫画だ。
設定は以下のとおり。
優秀なアメリカの軍事ジャーナリストの「アルバート・ビリー・フラー」つまり「AB・フリャー」が、自らの希望で名古屋に赴任する。
名古屋を県庁所在地とする愛知県は、信長・秀吉・家康の武将を生んだ地であり、軍事ジャーナリストとしては日本を軍事面で知る上で興味があったというのがその理由だ。
しかし、その名古屋で一癖も二癖もある周りの人間によってドタバタに巻き込まれていくとともに、名古屋独特の文化を知っていく。
ちなみに、彼は出身地のカリフォルニアのワインを飲むと、名古屋弁と空手が出てしまい、それによって事件も解決してしまう。
で、このドタバタが中心なんだが、非常に面白いのに既に絶版で手に入らない。
何せ1994年に出た漫画だし、10年以上前に発刊されて今でも販売され続ける方が圧倒的に少ないわけだからね。
この漫画の1巻のあとがきに彼女はこう書いた。
「バブルの影響も受けない、日本で唯一の独立国家、名古屋。今はまだまだ、しいたげられてますが、最後に笑うのは、そう、名古屋なのです」
そして、2巻のあとがきはこのように書いている。
「しかし、名古屋ほど不況に強い独立県はありません。あと十年、不況が続いたら、いよいよ名古屋の出番です。そう、最後に笑うのは、やっぱりケチでなく、合理主義の名古屋人なのです。よー覚えときゃー」
今でこそ、愛・地球博や中部国際空港で知名度が上がったこともあってか、日本で一番元気がいいだの名古屋経済は不況に強いだの言われているが、1994年時点で全国区ベースでそんなことを言う人は、ほとんどいなかった。
そんな中、彼女がこのように明確に名古屋の将来性・可能性を信じていたこと、そしてそのとおりになったということは、彼女のものを見る目がしっかりしているということではないか(そんな大げさなものではないかもしれないが)。
特に経済関係の新聞や雑誌も、元気だの不況に強いだの、名古屋経済を肯定的に捉えて記事を書き出したのってここ2・3年のことではないか。
名古屋を中心とする愛知県の企業は、もともと借金嫌いで合理主義だから、無駄なことに金を使わないことは徹底していた。
これは名古屋人の気質によるものだが、何もここ数年の現象ではなく、もともと文化として根付いたものだ。
だったら、不況に強いということで名古屋経済にもっと早く注目してもよかったわけだ。
経済関係の新聞や雑誌というのは、流行に敏感そうなイメージがあるけど、実は名古屋経済が騒がれてから取り上げるなど、結構流行に遅れがちなのが実情である。
そういえば、日経がスポンサーでテレ東系で放送している「ワールド・ビジネス・サテライト」という経済中心のニュース番組だって、バブルの崩壊した年1989年に始まったなあ。
バブル崩壊時期に、これからは経済のニュースだといって始まったわけだ。
彼女の作品は好みが分かれると思う(自分も好きというほどではないけど)が、彼女の漫画のあとがきを読み返すにつけ、そのようなことを考える。

これがその表紙の写真です。
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